シロクマのリバウンド効果

ウェグナーのシロクマ実験は、指示と逆の内容を参加者に伝えることで、逆効果が生じる現象を示した実験です。実験参加者がシロクマについて考えないように指示されたにもかかわらず、逆にその対象が頭から離れなくなってしまうという現象が起きました。

この実験は、心理学者のダニエル・ウェグナーが行ったもので、彼の「意図的な思考抑制の理論(Theory of ironic processes of mental control)」と関連しています。ウェグナーの理論によれば、意図的に特定の思考を抑制しようとすると、その思考が逆に強化されてしまうという効果が生じるとされています。

具体的には、グループ①では最初にシロクマについて考えるという指示があり、それに続いてシロクマを考えないようにする指示があったため、逆説的にシロクマの思考が引き起こされました。一方、グループ②では最初にシロクマを考えないようにする指示があり、それに続いてシロクマについて考える指示があったため、思考の制御がより困難となり、シロクマの思考が浮かび上がりやすくなったのです。

この実験は、意図的な思考抑制が思考の逆効果をもたらすことを示す例としてよく引用されます。思考や注意の制御に関連する心理的なメカニズムを理解する上で興味深い結果とされています。